演題 | 「小児の在宅医療における訪問看護師とケアマネージングの役割」 |
日時 | 平成30年4月25日(水) |
講師 | 長野県県立こども病院 療育支援部 地域連携係長 看護師長 福島華子先生 |
講演の内容
1. 小児医療の背景と現状
・1993年にこども病院が開設され、4年後より劇的に周産期死亡率が下がった。
・重症児の定義と障害の程度の分類:大島の分類・・1,2,3,4が重症心身障害児
・超重症児スコア・・・「超重症児」スコア25点以上、
「準超重症児」スコア10点以上
・在宅医療が必要な子供の特徴
*医療依存度が高い→複数の医療ディバイス
*成長に従って病状が変化する
*本人とのコミュニケーションが困難で異常である事の判断が難しい
*24時間介助者が必要で独居では生存不可能。しかも、多くの場合24時間
つねに見守りやモニタリングが必要
*発達成長のための支援が必要
・急増する在宅で医療ケアが必要な子供(右肩上がりで増えている)
*在宅の超重症児・準重症児 20歳未満→5,000人から7,000人
*日常の医療ケアを必要とする在宅児童数→延べ数25,000人以上
うち 人口呼吸管理1,270人以上
・小児の地域包括ケア
*高度医療機関と地域の医療サービスとの連携が必須
*医療、福祉、教育などの他施設、他職種がかかわる
*施設機関間、職種間を調整するコーディネーターが不在
2. 支援の実際と看護の役割
・小児在宅ケアの難しさ
①育児に加え、家族が疾病の管理を担うという重圧
②長期入院による親子の愛情形成上の問題による在宅移行への困難
③サポート体制、ネットワークづくりの難しさ
・在宅移行に必要な情報
①症状の安定
②本人・家族の在宅への意思
在移行決定はいつどのようにしたか
③在宅介護の質・量
④支援体制の確認
⑤経済状態
⑥症状変化時の対応
・在宅移行までの過程
ステップ1:在宅移行導入期→ポイントはケアの視点を医療から生活へ
医療的ケアを覚えよう
ステップ2:在宅準備期→在宅介護の質・量を家族の生活から考える
家に帰る準備を進めよう
物品・機器の準備、散歩、外泊
ステップ3:退院移行期→いざという時の救急情報提供カードの準備
さあ、退院
ステップ4:家での生活が継続する
①家族の役割を多面的に捉える(点と線で)
こどもも家族をケアする(相互エンパワメント)
②生活を支える
③こどもの成長・発達を支える
④家族を支える
⑤生活の支援
⑥医療の支援
⑦療育・教育の支援
⑧経済面の支援
3. 関連の平成30年度診療報酬改定について
以上、小児の在宅医療・在宅介護を支えるには乗り越えなければいけない多くの
困難な課題が横たわっている事が実感されました。
前向きに出来る所から一歩ずつ多職種の連携を深め、進んでいかなければならない
という気持ちが新たにされた講演でした。
福島先生には、たくさんの資料をご用意頂き、わかりやすいご講演をして頂きま
した。心より深謝申し上げます。
ご参加頂きました皆様にも深謝申し上げます。